民進党のトランプ氏に対するスタンス

 参議院ではTPP(=環太平洋経済連携協定)の承認案を巡る審議が行われている。
民進党の蓮舫代表は17日に行われた安倍首相とアメリカのトランプ次期大統領との会談について追及した。

蓮舫代表は会談後、安倍首相がトランプ氏について「信頼関係を築けると確信が持てる」と評価したことに対してその理由をただした。

【安倍首相VS蓮舫代表論戦詳報(1)】
主なやりとりの詳報は以下の通り。

蓮舫氏 「私は選挙戦を通じた、トランプ氏の物言いには大きな懸念を抱いてきました。
自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の下の平等…日米関係の基本理念がもしかしたら揺らぐのではないか。
トランプ氏がお話になられた、宗教、民族、性差、特定の国を挙げて『レッテル張り』をする非難と批判の応酬。
私は、この方が大統領になられて日米関係の共通理念が共有できるか非常に心配したんです。
総理はお感じになりませんでしたか」

首相 「ここで次期大統領の選挙中の発言について、批判的にコメントを述べるのは生産的ではない。
なるべくはやくお目にかかって、自由や民主主義、基本的人権といった普遍的価値を共有する国同士の同盟である
日米同盟は揺るがない。そのことを確認をする必要があると考えたわけです」

(中略)

蓮舫氏 「いいですか。選挙戦のトランプ氏の発言です。イスラム教徒は完全に入国禁止にする。メキシコからの移民は犯罪者。
口にすることもはばかれる女性蔑視の発言が長期戦に向かって何度も繰り返されました。ドイツのメルケル首相もこの点に
ついては懸念を示しています。その中、なぜ安倍総理はこんなに急いで会いに行って、なぜ、信頼できたのか。
(トランプ氏の選挙期間中の)“暴言”は『演出であって、僕の本意ではないんだ。僕はそう思っていないんだ』と説明があったわけですか」

首相 「蓮舫委員は米国の次期大統領にさまざまな批判を述べられたわけですが。( 蓮舫氏『批判じゃないですよ!』 )
日本にとって、日米同盟関係は外交安全保障政策の基軸なんです。この同盟関係を、世界がどうなっていくか注目しているわけです。
アジア太平洋地域の安全保障関係が厳しくなるなか、日米同盟が揺らいでいく、あるいは、次期大統領と日本の総理大臣が
信頼関係が構築できないとなれば、日本の安全が危うくなっていくということです。蓮舫委員は私がトランプ氏の家に行ったから、
それに彼が感謝、信頼できると述べたといっています。そんなこと私、全然述べていないじゃないですか」

今日はこの記事に対してというより、民進党のトランプ氏に対するスタンスについて、私見を述べようと思います。

この記事では蓮舫さんがトランプ氏の発言を批判的に抜き取り、それを安倍総理に「トランプ氏はこんなこと言ってるけど首相はどうなの?」と問い詰めています。いつもの光景です。
しかし蓮舫さんは「私はトランプ氏自身を批判しているわけではない」という点を強調しています。

他の民進党の方の発言をあげます。例えば小西さん(クイズの人)は、安倍総理とトランプ氏が並んでいる写真をさして「自由、平和、民主主義を破壊する二人だ」と、非常に強く批判しています。
安住さん(ガソリンプールの人)は「トランプ氏は信用できない」と、これも批判的に述べています。
しかし野田幹事長(元総理の人)は、「安住さんは東北のトランプ氏になれるだろう」と、非常に好意的な文脈で、トランプ氏の名前を出しました。

野田さんの発言を知った時、「あれ、民進党で内輪もめ?」と一瞬思いましたが、後々野田さんは「トランプ氏が差別的な発言を繰り返していて驚いた」と話しています。

これについてはもっと詳しい方がいるのでしょうが、私が見る限りでは、民進党はおおよそトランプ氏に対して批判的。ただ、野田さんと、「野田派」に属する蓮舫さんは、「やや懐疑的」といったスタンスを取っているのがうかがえます。

これは別に悪手ではありません。今現在、トランプ氏がアメリカにとって幸福な存在か、不幸な存在かは誰もわかりません。もしトランプ氏がアメリカで失政をしてしまい、アメリカでの人気が下がったのなら、その時には「ほら、やっぱり私達の言う通り、トランプ氏は駄目だったじゃないか」と言えます。そうなりましたら、民進党の支持率も少しは上がるでしょう。

ただ、このスタンスを取る際の一番の問題点は、「もし次の日本の選挙で民進党が与党になった場合、トランプ氏に向ける顔がなくなる」という点です。
上に述べた通り、「トランプ氏は信用できない」とか「トランプ氏は自由、平和、民主主義を破壊する」とか言ってた人は、とてもトランプ氏に顔向けできないのです。

蓮舫さんが「私はトランプ氏を批判しているわけではない」と強調するのは、おそらくその辺りが理由だと思います。
民進党が与党になるということは、私含めあまり想定していませんが、党首である蓮舫さんは、流石にその可能性を放棄していないでしょう。

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