中国を初めて統一した秦の始皇帝(紀元前259~同210年)の陵墓に埋葬された兵士や馬の姿をした副葬品である兵馬俑の制作に古代ギリシャ人が協力
していたとの説を英BBC放送などが伝え、中国で話題となっている。これまでの常識を覆すもので、ネット上では「全くのうそ八百だ」と反発も広がっている。BBC(電子版)は12日、最近の研究で、兵馬俑が古代ギリシャの芸術品の影響を受けた可能性があることが分かったと報じた。
「秦始皇帝陵博物院」の専門家はBBCに「シルクロードが開かれる前に始皇帝時代の中国と西洋の間で密接な接触があった証拠が見つかった」と証言した。始皇帝の陵墓建設前の中国には高さ約20センチの単純な像しかなく、兵馬俑のように等身大の写実的なものは作られていなかったとされる。
ウィーン大学の教授も最近発見された像の特徴から、「ギリシャの彫刻家が中国人に技術指導したかもしれない」と指摘した。ただ、この説は、独自に文明を発展させてきたことを誇りとしている中国の人々には受け入れられないようだ。
中国版ツイッター「微博」には、「学者の推測」「中国の技術が西洋に伝わったのではないか」といった書き込みが相次いでいる。
優れた文化があったから西洋人が関わっているに違いないとか言うのは、流石にアジア人を馬鹿にしすぎ。
文明というのは常に発展するものではなく、発展する時期と衰退する時期を交互に繰り返すものです。疫病や災害等が原因で文明レベルが低下して、なかなか発展しなくなる時期を「暗黒時代」と称したりします。
例えばと例を挙げるときりがないのですが、例えば日本の刀鍛冶の技術は、鎌倉時代に最も進んでいたそうです。
当時の刀は今では作れないそうです。
他にも、史上初めて地球の大きさを観測したのは古代ギリシャ時代の哲人エラトステネスと言われていますが、彼以降再発見されるのには2000年近く時間がかかったりだとか、アメリカ大陸への航路を発見したイギリスのヴァイキング(8世紀前後)以降、再発見されるのには600年近くかかったりだとか。
あるいは、古代にあった技術が現代で再現できない場合もあります。ダマスクス鋼で作った剣だとか。そういうのはロストテクノロジーというそうです。
古代だからといって必ずしも劣っているとは限らない。秦の始皇帝の墓所、兵馬俑もその一つです。
8000体にも及ぶ人間の彫刻の、どれひとつとして同じ顔が見当たらないというとんでもない技術ですが、その技術の一つに「石膏拓」というものがあげられています。
石膏で人の型をとり、その型を元に等身大の人形を製作するという技術です。
当時の軍人のおおよそ全員に、石膏の拓をとるように命じ、軍人全員がそれに従ったなら、8000体のオーダーメイドというのも可能なように思えます。
他にも色々な技術があったのではないかという提案や研究がされています。古代人の行動範囲というのは思いの他広いので、西洋人が携わっていた可能性もあるのかもしれません。
ただ、「西洋人が携わったから」というのは、技術レベルの飛躍の答えにはなりません。
だってギリシャには兵馬俑と同じもの、ないじゃないですか。